カザフスタンの宗教:精神的な多様性と文化的絆が織りなす多面的なモザイク 世俗国家の基盤は、信教の自由と宗教的実践の平等である。
世俗国家の基盤は、良心の自由、宗教的信条の平等、そして信教に対する政治指導部の不偏不党性にあります。世俗国家は、市民による信教の自由の行使および宗教団体の活動を法的に規律します。国家と宗教団体との関係システムは、社会関係のその他のシステムから孤立しているわけではありません。宗教および宗教団体はカザフスタン社会の諸制度の一部であり、信者は完全な権利を有するカザフスタン共和国の市民です。
上記に関連して、世俗的な性質が現代のカザフスタン法治国家の構築および機能における基本原則の一つであることを強調する必要があります。国家機関は教会法に基づくのではなく、カザフスタン共和国憲法に基づいて形成され、その基礎の上で活動します。
現在、憲法の基本規定に基づき、カザフスタン共和国の2011年に採択された法律「宗教活動および宗教団体について」は、基本法、国際文書、人権条約に明記されている良心の自由の権利を市民が行使するための法的メカニズムとなっています。宗教団体を国家から分離する原則により、
憲法はすべての人に良心の自由を保障し、宗教的、民族的、その他の理由によるあらゆる形態の差別を禁じています。良心の自由とは、すべての市民が自主的に精神的価値体系を選択する権利を意味します。良心の自由という人権の実現は、カザフスタンの多信教国家としての死活的利益に属し、その民主的および法的発展に不可欠な要素です。カザフスタンは人権分野において一般に認められた国際文書に依拠しています。カザフスタンの信教および信仰の自由を保障する法体系は、全欧州および世界的な民主主義基準に適合しています。多くの専門家の見解によれば、同国の法制度は、OSCE(全欧安保機構)やその他の国際機関によって採択された国際基準の根底にある基本原則、ならびに先進民主主義国の経験と一致しています。
同共和国には、さまざまな宗教および信仰の代表者の間での共存と効果的な相互作用のための良好な環境が存在します。カザフスタンにおける宗教間関係のモデルは、他国にとって比類のない模範となっています。周知のとおり、世界の豊かさはその類まれな多様性にあります。この点に関して、ユーラシア主義研究者L・N・グミリョフの言葉は正当性を帯びています。「民族的多様性こそが人類の最良の存在形態である」と彼は記しました。カザフスタンは当然のことながら「文明の交差点」と呼ばれています。カザフスタンは、イスラム教、キリスト教、仏教という世界三大宗教の自然な境界線となっています。何世紀にもわたり、多様な民族や文化の代表者たちがここで共に暮らし、活動を続けてきました。
現代の世界的な発展段階において、社会生活における精神的・宗教的要素に対する各層の人々の関心は著しく高まっています。その証左となっているのが、近年のカザフスタンにおける信者数の増加です。専門家の推計によると、信者の割合は1980年代半ばの20〜25%から90〜95%へと急増しました。伝統的に信者数の首位を占めるのはイスラム教徒と正教会のキリスト教徒であり、2009年の国勢調査では信者全体の90%以上を占めています。具体的には、国民の70.2%がイスラム教徒、26.0%がキリスト教徒、0.3%がユダヤ教徒、0.1%が仏教徒、0.2%がその他の宗教の信奉者と回答しました。一方で、無宗教と回答したのは2.8%でした。
統計によれば、1979年のカザフスタンにはわずか25のモスクしか存在しませんでしたが、2020年12月1日にはその数が2,690に達しています。
伝統的なカザフの信仰(ハナフィー派イスラム教および正教会)と新たな宗教潮流の双方が共存するこの国の宗派的多様性は、現在、国家の社会的是非、平和、調和の礎となっています。国内では、多民族・多宗教からなるカザフスタンの国民の信仰を支える18の宗派の代表者たちが手を取り合っています。カザフスタンの宗教空間は、多様な民族、言語、文化、社会層に属し、それぞれ異なる信仰や宗教的実践、世界観を持つ人々によって彩られています。
カザフスタン社会が歴史的・文化的に主としてスンニ派イスラム教(ハナフィー学派)と正教会の二大伝統宗教に根ざしていることを踏まえると、最大の宗教コミュニティはイスラム教徒であり、2021年1月1日時点でその団体数は2,691に上ります。国内で2番目に信者数が多いのはカザフスタン正教会で、343の宗教団体を擁しています。
次に大きな宗派的潮流はカトリック教会であり、86の宗教団体が存在します。また、国内におよそ600の団体を数えるプロテスタント系宗教団体も、カザフスタンの信仰空間で確固たる地位を築いています。これらに加え、7つのユダヤ教コミュニティ、2つの仏教団体、その他多彩な宗派が存在します。
近年、カザフスタンを訪れる宣教師の数は増加傾向にあります。2003年には89人だった宣教師が2011年には200人となり、2020年には30カ国から計396人の外国人宣教師が登録されました。なお、パンデミックの影響により、直近では過去の同時期と比較して一時的な減少も見られました。
2011年に施行された「宗教活動および宗教団体に関する法律」は、国内の信教に関わる法制度を整えました。独立後初めて、2017〜2020年を対象とする宗教分野における国家政策コンセプトが採択されました。このコンセプトは、国家機関、宗教団体、市民社会組織の力を結集して宗教政策の発展と改革を推進し、民族の歴史的・文化的遺産の特性を踏まえたカザフスタン独自の政教・宗派間関係モデルを深化させることを目的としています。効果的な国家政策と法執行により、国内の宗教環境は大きく一新されました。古いモスクの修復や新設が進み、精神教育機関のネットワークが整備され、イスラム関連の出版物が刊行され、信者にはハッジ(巡礼)の機会が開かれました。宗教間の調和、信教の自由の権利、宗教団体との対話を担う中心的な国家機関が、カザフスタン情報・社会開発省宗教問題委員会です。
実効性ある政策と現行法の建設的な運用により、カザフスタンでは宗教的背景による対立は一切存在しません。国家の世俗性と政教分離という憲法上の原則は、国家と宗教団体の権限および機能の明確な分担を通じて実現されており、双方が納得できる環境での協力関係を築く前提となっています。
カザフスタン共和国で実践されている国家と宗教団体の関係システムは、機能の明確な分担に基づくパートナーシップ(協力)の性質を有しています。この関係システムにより、宗教団体は社会生活の多様な領域に参画することができ、世俗的法原則と宗教的価値観の調和のとれた融合が促されています。このアプローチのもと、国家と宗教の協力は以下のような分野で共同活動として展開されています:
本法は宗教団体による宗教的教えの布教の権利を制限するものではなく、宣教師の活動手順を定めたものです。カザフスタンで登録された宗教団体には、外国人宣教師を国内に招聘して活動を行うための十分な環境が整えられています。カザフスタン共和国の領土内では、所定の登録手続きを経ることで、カザフスタン国民、外国人、無国籍者を問わず、誰もが宣教活動を行うことができます。
現代のカザフスタン社会において、宗教的要素が重要性を増していることは明らかです。そのダイナミズムと特徴は次のような点に現れています。社会政治の多方面における宗教の影響力の増大、国民の日常生活における宗教団体の存在感の高まり、宗教教育分野の拡大と財政的・物質的基盤の強化、そして諸外国の宗教組織によるカザフスタン国内での宣教・布教活動の活発化です。
近年、カザフスタンの宗教情勢には一定の変化が生じています。特に宗派の多様化が進み、国内の各地域において繊細な課題が浮き彫りになってきました。宗教の役割が高まる一方で、一部の人々の信仰生活において好ましくない側面も現れています。具体的には、世俗社会の確立された規範や国の伝統・文化に反発する市民が増加し、非伝統的な宗教運動が台頭しました。さらに、一部の信者の間で過激な攻撃性や宗教的過激主義が見られるようになり、国家と国民の安全と安定を脅かす要因となっています。
こうした傾向を受けて、社会の安定と安全の強化、平和と調和の確保、そして宗教的過激主義やテロの脅威から若者や未来の世代を守る役割を世俗国家に期待する声が国民の間で高まりました。
国民の指導者であるカザフスタン初代大統領N・ナザルバエフは、国民向け教書『戦略「カザフスタン-2050」:成熟した国家の新たな政治方針』において、国の伝統と文化的規範に調和したカザフスタンの宗教的意識を育むという歴史的課題を掲げました。大統領は、国家と国民が一丸となって、あらゆる形態の過激主義やテロリズムに立ち向かわなければならないと強調しました。
今日、カザフスタンに対する脅威は、宗教的過激主義やテロリズムに関わる外部勢力のみならず、国内の要因からももたらされています。2011年と2016年にアティラウ、アクトベ、アルマティで発生した悲劇的なテロ事件(首謀者や実行犯にカザフスタン国民が含まれていた)を経て、公共の安全への脅威が明白となりました。国内における宗教的過激主義やテロの現実、そして国家安全保障へのリスクは否定できません。専門家は、過激主義の拡散要因として次の諸点を挙げています。
カザフスタンにおいて、宗教的過激主義の防止と対策は国家政策の最優先事項の一つです。この分野では多大な取り組みが行われ、特別法の制定をはじめ、「カザフスタン共和国における宗教的過激主義およびテロリズム対策国家プログラム(2013-2017年および2018-2022年)」が採択されました。啓発グループの活動も極めて活発で、全国で約3,000名の専門家が若者、信者、求職者、受刑者とその家族、民間企業やサービス業の従業員などを対象に講演会や集会を実施しています。宗教問題委員会は、破壊的な宗教運動の信者の社会復帰を支援しています。2014年設立の「アクニエット」情報・リハビリテーションセンターは過激化した人々の更生を専門とし、矯正施設内でも集中的な支援が行われています。さらに、特別作戦「ジュサン」および「ルサファ」によるテロ紛争地域からの国民帰還事業は成功を収め、米国をはじめ国際社会から高く評価されています。
重要な予防活動の一つとして、「女性ジャマート」のメンバーに対する支援が挙げられます。この枠組みでは、社会福祉支援の提供に加え、女性向けの職業訓練コースの開催、雇用支援や社会適応のサポートが行われています。
また、教育ポータルサイト「Kazislam.kz」の貢献も見逃せません。同サイトはイスラムの正しい教え、カザフスタンの宗教政策、過激主義やテロリズムの防止に関する信頼性の高い情報を日々発信しています。
独立以降、国内にはヌル・ムバラク大学、9つのマドラサ・カレッジ、SAMK傘下のイマーム専門能力開発研究所、アルマティ正教神学校、高等神学校「教会の母マリア」など、数多くの宗教教育機関が設立されました。現在、13の高等教育機関で計3,381名の学生が学んでいます。
これらは優秀な宗教関係者を育成するための優れた基盤となっています。その一方で、良好な一般教育を受けながらも基礎的な宗教知識を持たない国民が、国外の神学教育機関へ留学する傾向は懸念されています。海外の機関の大半は公認校ですが、急進的な思想を植え付けられる恐れのある不審な施設も存在することは否定できません。
現在、カザフスタンでは質の高い高等宗教教育を受けられる環境が整っています。教育科学省や地方自治体から奨学金が給付され、「イスラム学」「宗教学」「神学」の各分野で専門的な教育が行われています。2019-2020年度にはこれらの専攻に約500人分の国費奨学金枠が設けられました。さらに、ヌル・ムバラク大学には過激主義防止の専門家を養成する研究所も設置されています。
国家の最重要課題の一つは、宗派間の調和を維持することです。国内の全宗教の法的是非が平等である一方、現実の調和の中心を担っているのは国内二大宗教であるイスラム教と正教会であり、両者の良好な関係が安定の要となっています。この安定を軸として、諸宗教の調和が成り立っています。カザフスタンは、世界の伝統宗教指導者による対話を先導して推進した先駆的な国際主体です。2003年以降定期的に開催されている「世界・伝統宗教指導者会議」は、極めて建設的な対話の場として世界的に定着しています。
カザフスタンの宗派間調和モデルが示すように、国内の宗教間関係は全体として非常に強固で安定しています。しかし、国内外の情勢は常に安定をもたらすとは限らず、不安定化を招く要素も多いため、この平和は不断の努力をもって大切に育まれなければなりません。
国内外の著名な地政学専門家は、世界規模で戦略的かつ本質的な不安定化が進んでいると指摘しています。この新たな情勢下において、いかにして宗派間の合意と平和を守り続けるかが問われています。
第一に、国家と諸宗教はこれまでに築き上げた成果を大切に守り、宗派間の平和を揺るがすような性急な措置を避ける必要があります。
第二に、カザフスタン共和国は変化する社会政治情勢に応じて、政教関係に関する法令を含む法制度を適切に改正・更新する権利を有しています。
第三に、法律は差別的なものであってはならず、信者の権利が侵害されてはなりません。法改正は常に慎重かつ合理的な根拠に基づいて行われるべきです。カザフスタンが直面する主要な課題は、宗教的寛容の強化、非伝統的な宗教組織や宣教団体の動向把握、過激主義・テロの浸透阻止、そして宗教間の良好な対話の発展です。
宗教的過激主義に対する最も効果的な処方箋は、健全な宗教教育です。自らの信仰を正しく深く理解している人は、破壊的な組織に誘惑されることはありません。若者への法教育は大切ですが、法律の条文だけで全てを防げるわけではありません。国家機関の最大の使命は、破壊的なカルト組織に対する強固な社会的免疫力を育み、市民としての誇りと遵法精神を養うことです。現代のソーシャルメディア環境において、メディアには相互理解と対話の気運を醸成し、社会の持続的な発展に寄与する役割が強く求められています。
翻訳:B・R・シェリヤズダノフ